はじめに
私は今商社で経理をやっておりますが、前は全国チェーン小売店の経理をやっておりましたので、
転職当初は貿易のことはさっぱりわかりませんでした。
貿易を勉強する上で、インコタームズ(貿易条件)の理解は欠かせません。
この記事を読んでいただければ、インコタームズをざっくり知ることができますので是非ご覧ください!
この記事はこんな人向けです↓
- これから商社で仕事をしようとしている人
- 貿易・商社に興味がある人
- 貿易条件をざっくり知りたい人
インコタームズってなんなん?
インコタームズを説明する前に、そもそも何のために使うものなのかをご説明します。
インコタームズとは貿易取引において、「売る人」と「買う人」で
- 誰がどこから運賃を支払うのか
- 誰がどこから貨物の責任を取るのか
という国際的な取り決めの「貿易条件」であり、アルファベット3文字で表記(例:FOB)がなされます。
貿易は様々な工程を経て貨物が届けられます。
この各工程において、誰がどこからどこまで責任を取るのかを決めなければ、
トラブルがあったもしもの時に責任の所存がハッキリせず、貿易取引がより複雑になってしまいます。
つまり、インコタームズ=貿易取引を円滑にするためのルールということです。
トランプゲームに大富豪ってありますが、ローカルルールが乱立していますよね。ゲーム中に揉めないように、どのルールを使うか決めますよね?そんな感じのイメージです!
- インコタームズ1936 年に、国際商業会議所( ICC **)が「貿易取引条件とその解釈に関る国際規則( In ternational Co mmercial Terms )」を制定
- 商慣習の変化に伴って改定されており、インコタームズ 2010 が 10 年ぶりに改訂され、インコタームズ 2020 が発効( 2020 年 1 月 1 日)
- インコタームズは、売買契約における①売主・買主の義務②費用負担③危険負担について定めた規則
- Incoterms は法律ではなくあくまでも統一的解釈基準であり、当事者の合意があれば規則と異なった取り決めを行う事も過去の Incoterms の使用も可能。ただし、 Incoterms2010 と 2020 では変更箇所もある為、売り手・買い手間に齟齬なきよう、契約書には Incoterms の適用とそのバージョンの明記が重要。
複雑ですよね・・・これでもだいぶ端折っています。
当然、貿易の仕事をやる人は細かく押さえる必要があります。
しかし、経理部的にはざっくり押さえておけばOKです。
まずは、代表的な貿易条件をおさえて、そのほかは徐々に覚えていきましょう。
インコタームズは実は11種類もあり、一度で覚えるのは結構厳しいと思います。
この記事では私が実務でよく目にする、4つに絞りご説明いたします。
インコタームズを覚えるコツとしては、アルファベット3文字のもとになった意味を意識すること、自分が売主・買主になった気分で考えることです!
EXW(Ex Works イーエックス・ワークス)工場渡し(指定引渡地)
売主は、引き渡しの際積み込みの必要はなく、輸出通関の必要もありません。
買主は、買主危険負担部分について、外航貨物海上保険を手配する必要があります。
自分が売主と仮定してみてください。工場で買主に責任が移るので楽チンな取引と思いませんか?
逆に自分が買主と仮定したらどうでしょうか?
売主の工場まで車を手配し、売主側の国での輸出通関作業、船が着いたら自分の国での輸入通関作業、そして自分の倉庫などに運搬。と凄い大変ですよね。
この長い輸送中に何か貨物に事故が起きたらその処理もしなくてはいけないわけです。
EXWは売主からしたらとても楽チンで買主からしたら大変な貿易条件といえます。
一方、商品価格は物流費用等が無い分低く抑えられるという利点もあります。
FOB (Free On Board エフオービー)本船渡し(指定船積み港)
外航貨物海上保険は買主が手配します。自分が売主・買主としたらどうでしょうか?図で見るとなんとなく同じくらいのリスクを、売主買主それぞれが背負ってるように感じますよね。
本やネットだとFOBは最近はもう古いとか言われていますが、実務では当たり前に使われていてかなり見る頻度が高いですね。
CIF (Cost Insurance and Freight シーアイエフ、シフなど)運賃保険料込(指定仕向港)
売主側の船に乗ったら買主に責任がわたるのはFOBと同じとなっており、ちょっとややこしいので、FOB+運賃・保険 とおさえましょう。
FOBと同じくCIFも最近はもう古いとか言われていますが、実務では当たり前に使われていてかなり見かけますね。
DDP (Delivered Duty Paid ディーディーピー)関税込持込渡(指定仕向地)
インコタームズの中で最も売主の負担が大きく(↔買主の負担が小さい)、輸入国内での通関や輸送費用も売主が負担する条件はDDPだけです。
- 輸出者は貨物保険料の負担義務(付保義務)はないが、輸入国で引渡すまで自らが運送リスクを負うため、通常は、輸出者が付保します。
- 引渡しは、指定仕向地において、輸入通関を行い、荷卸しの準備ができている到着した運送手段の上で、物品が買主の処分に委ねられた時
- 荷卸費用は買主(ただし運送契約の下で荷卸費用を売主が負担すると合意した場合は売主負担)
自分が買主だと仮定すると、とても楽に感じますよね。
しかし、その分が商品代に乗せられるので、自分で手配するより割高になることが多いです。
まとめ
●インコタームズは貿易取引を円滑にするためのもの
●インコタームズは①売主・買主の義務②費用負担③危険負担について定めた規則
●覚えるコツは、アルファベット3文字のもとになった意味を理解すること、自分が売主・買主になった気持ちで考えること
貿易条件をもっと知りたい方は、物流会社さんのHPがわかりやすいのでオススメです。
我々経理部も物流会社さんのHP等を見て勉強しています!わかりやすくて助かります。
実務上は物流会社はじめ関係者と協議の上処理をすすめましょう。
貿易条件だけでなく契約で細かく縛る場合もありますので、取引は様々な視点からチェックして慎重に行いましょう。
まずは上記4つを覚えてそこから枝が分かれるように覚えましょう。自分で簡単な図を書いてみると理解が深まると思います。