この記事でわかること
- ビジ法2級(ビジネス実務法務検定2級)の概要
- ビジ法2級の勉強時間と使用テキスト、問題集
- CBT試験の当日流れと実体験に基づくアドバイス
ビジネス実務法務検定とは?
ビジネスに不可欠のコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を体系的かつ効率的に身につけることを目的としている試験です。
出題範囲と、難易度により1級,2級,3級に分かれており、 2級と3級は受験資格無しのため誰でも受験が可能です。
1級は、2級合格者のみ受験できる。 という仕組みになっています。
各級の基準について
1級
- 業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
2級
- 企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家に対する相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。(知識レベルのアッパーレベルを想定)
3級
- ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定)
検定名に「実務」と入っている通り、そのまんま仕事で使える知識です。
ビジ法2級では何を学べるのか?
東京商工会議所の記載を抜粋すると下記のとおりです。
- 企業取引の法務
- 債権の管理と回収
- 企業財産の管理・活用と法務
- 企業活動に関する法規制
- 株式会社の組織と運営
- 企業と従業員の関係
- 紛争の解決方法
- 国際法務(渉外法務)
ざっくりいうと会社の取引や運営に関わる法律を、幅広くカバーしているということですね。
債権の管理や回収や企業活動に関する法規制などは、法務部門のみならず営業部門やその他部門においても必要な知識ですので、社会人全般に取得が推奨されるのも納得です。
ビジ法2級の評価について。就職転職に有効か?
気になるのがビジ法2級の評価ですが、諸説あり明確な結論が出せないのが実態です。
業界や会社により必要な知識レベルは違いますし、採用担当者の評価というのはかなりばらつきがありますし一概にはいえないところです。
私の意見としては、ビジ法2級は採用の決め手にはならないけれど多少有利に働くかなぁ という程度だと思います。
ちなみに私の会社の法務部門では取得を奨励されているので、法務部門への就職転職には結構有利に働くと思います。
評価はそこそこですが、実務では活きる知識ですので業務に役立てるというスタンスの方がいいかもしれません。
ビジ法1級はとんでもない難易度らしいですが、取得の労力に見合わない評価と言われています。
企業法務をがっつり極めるぞ!っていう人以外は、2級までの取得に留めたほうがよさそうです。
いきなり2級から受験して大丈夫かどうか
私は3級の勉強を一切せずいきなり2級から学習を始めましたが、2級からで全然問題ありません。
私は私立文系卒(非法学部)で、保有資格は日商簿記1級、税理士試験の簿記論・財務諸表論、FP2級など。
法務の勉強は会社の研修(下請法など)くらいで殆ど経験ありません。
FP2級がほんの少し掠ってるかな? 程度です。
FPは3級合格後、2級を取ったのですが、2級からで全然大丈夫だったな。と後悔したので、その経験もありビジ法は2級から始めました。
但し、複雑な文章を読むのが得意では無い方は3級から始めた方がいいかもしれません。
2級の問題を読んでいただくとわかるのですが、
法律の問題だけあって文章がまどろっこしく理解しにくい箇所が多々あるので、
文章読解力に自信が無い場合は3級から始めるのをおすすめします。
国語(現代文)が得意な人はいきなり2級からで全然OKだと思います。
【2級 試験問題例】
消費者契約法に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~⑤の中から1つだけ選びなさい。
ア.消費者契約法は、労働契約も含めて、事業者と消費者との間で締結されるあらゆる契約に適用される。
イ.事業者は、消費者契約の締結について消費者を勧誘するに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた。この場合、当該消費者は、当該勧誘により当該消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができる。
ウ.消費者契約法が規定する取消権は、消費者保護の観点から、その行使期間についての定めがなく、消費者はいつでも取消権を行使することができる。
エ.事業者と消費者との間の契約において、事業者が契約の重要事項に関して事実と異なる内容を告げる行為は、民法上の詐欺による意思表示における欺罔行為に該当するため、消費者契約法上の不適切な勧誘行為には当たらない。
オ.事業者と消費者との間の契約において、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限しまたは消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、消費者契約法上、無効である。
東京商工会議所HPより引用
読点が多く一文が長いのが特徴です。冷静に読まないと間違えまくるので、ある意味国語力の試験ともいえます。
勉強時間について
前半の1ケ月は平日は通勤時間のみ
●往復1時間×週3回出勤×4週 = 12時間
※コロナ禍のため週3出勤でした。
後半の1ヶ月は平日は通勤時間+夜30分程度。土日は計5時間くらい。
●往復1時間×週3回出勤×4週 = 12時間
●平日夜30分×20日(4週×5) = 10時間
●土日5時間×4週 = 20時間
12+12+10+20 で、計54時間。これに試験直前の追い込みを入れて、おそらく約60時間くらいの計算です。
巷では合格までに60時間以上の学習が必要 と言われているので、振り返るとなかなかいいペースだったようです。
使用参考書と勉強方法について
使用テキストは、TACが発行している「ビジネス実務法務検定試験(R) 一問一答エクスプレス 2級 」(約2,000円)と東京商工会議所が発行している「ビジネス実務法務検定試験2級公式問題集」(約3,500円)です。
私はこの2冊の本のみで学習しました。テキストはなくても大丈夫です。
私はPDF化して、スマホに入れて通勤時間中に勉強していました。
なお、PDFはAdobe無料アプリを使用し、一枚一枚頑張ってアプリでPDF化しました。
学習当初はTAC問題集だけで本試験に臨もうと考えていたのですが、ある日過去問を立ち読みしたら全然解けなかったので滅茶苦茶焦り、公式問題集を購入しました。
結果的に公式問題集を使わなければ合格は厳しかったように感じます。
実際本試験では公式問題集で見た問題が殆どでしたので、効率よく受かるには公式問題集は必須アイテムだと思います。
合格ラインは70/100点なのですが、過去問の解答結果は71点、73点と、かなり不安が残る状態で本試験を迎えました。
過去問は約60分ほどで解き終わりましたので、時間が足りなくなることの心配はありませんでした。
より具体的な勉強方法は↓の記事でご紹介していますので、お時間あれば御覧ください。
試験当日の流れ(CBT試験の場合)
私は新宿にあるテストセンターで受験をしました。
会場につくなり、受付で身分証を呈示し、ロッカーに手荷物を入れます。試験室には何も持ち込むことはできません(黒のボールペン1本とA4メモ用紙1枚が支給されます)
自習室のような仕切が設けられた席にノートPCが設置してあり、自分で操作を行い、チュートリアルをしたのち自分のタイミングで試験を開始します。
私はCBT試験は初めてだったので違和感というか集中するのがちょっと難しかったです。
試験問題の冊子は配付されませんので注意です。
通常の紙が配付される試験だと選択肢を選ぶ際に×印等で答えを絞っていく解き方が多いと思いますが、
PCディスプレイ上に印をつけるわけにもいけませんから、工夫が必要です。※これはIBT試験でも同様かと思います。
事前に自分の解き方を考えてから臨むことをおすすめします。
メモ用紙が1枚だけ配付されるので、自分なりに効率的な方法で解答しましょう。
私は、選択肢を2,3個くらいに絞ったら、①、③、⑤のように書いて、その後③に斜線をひいたりして解答を絞っていました。
問題冊子が配られると勘違いしていましたので、結構てんぱりました。事前の対策をお勧めします。
解き終わったら試験終了ボタンをクリックして終わりです。
私は約60分ですべて解き終わり、10分程度見直しました。
試験終了ボタンをクリックすると瞬時に点数が表示されます。あまりの速さに驚きました。
結果はまさかの96点と超高得点でした。過去問は7割程度だったので意外です。
たまたまかもしれませんが、過去問に比べると簡単な問題が多かったように感じました。
まとめ
- ビジ法2級は会社の取引や運営に関わる法律を、幅広く学習できる資格
- 文章読解力があれば、いきなり2級からの受験で問題なし
- 初学者は約60時間以上の勉強時間が必要
- 使用する本はTAC一問一答エクスプレスと、公式問題集。テキストは無くても大丈夫
- CBT,IBT試験の解き方を事前に確認しておくとよい