インボイス制度襲来まであと2年。
インボイス制度とは、仕入税額控除を受けるための新たな改正で、正式には「適格請求書等保存方式」といいます。
欧米ではインボイス制度が主流であり、日本も軽減税率導入を契機にまさに移行しようとしております。
この記事では、インボイス制度の内容や企業への影響について、経理部が対応すべきことについて説明します。
インボイスってなに?
インボイス(invoice)は日本語で請求書を意味します。
船積書類の一つですので、貿易業務に携わる方には馴染みがある言葉かと思います。
繰り返しになりますが、「インボイス制度」の正式名称は、「適格請求書等保存方式」といい、
ある要件を充足した請求書を発行する制度のことをいいます。
売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものであり、
具体的には現行の請求書に、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加されたものをいいます。
この、追加されたものを適格請求書といい、適格請求書に基づき消費税の仕入税額控除額を計算し、
適格請求書を保存することを「適格請求書等保存方式」といいます。
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。そして、売り手についても交付したインボイスを保存しておく必要があります。
適格請求書発行事業者は消費税の課税事業者のみ!
請求書を発行する事業者全てが「適格請求書」を発行できるのではなく、「消費税の課税事業者」でなければ「適格請求書」を発行できないのがポイントです。
1年間の課税売上高が1,000万円未満の事業者については納税が免除されているので、消費税を納めていない「免税事業者」は「適格請求書」を発行することができません。
つまり、適格請求書を発行できない事業者からの仕入に係る消費税はインボイス制度導入後は、仕入税額控除できなくなります。ここが、インボイス制度導入による最も大きな問題となります。
※(2029年(令和11年)9/30までは経過措置あり)経過措置があり、2023/10/1~2026/9/30は80%、2026/10/1-2029/9/30までは50%相当額の仕入税額控除が可能
もし仕入先や経費支払先に免税事業者があるとしたら、その会社からの仕入や経費については今後仕入税額控除ができないので、「適格請求書」を発行できる会社を探し選ぶ必要があります。自社の取引先がどうなのか、導入前に必ず確認しておきましょう。
今後やるべきこと
登録申請書を提出
登録申請提出後、税務署より登録番号が通知されます。2021年(令和3年)10/1~2023年(令和5年)3/31までに提出が必要です。10月からできますので、私はさっさとやろうと思います。e-Taxで手続き可能ですのでさくっとやってしまいましょう。
適格請求書のフォーマット改修
インボイス制度の要件を満たす請求書を発行するため、システムの改修が必要となります。
一般的に基幹システムの販売会社、製作会社はインボイス方式に対応すると思いますので、システムにより出力、発行する請求書についてはシステム会社さん任せで大丈夫でしょう。
しかし、経費の請求書などをExcelやワード等で自社で作成している場合は、要件を満たすよう、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」を必ず追記するよう注意しましょう。
請求書を経理部門で発行しているのでなく、各営業課が自分達で請求書を発行している場合は特に注意です。
発行した適格請求書の保存方法確立
ここが意外と面倒くさいです。紙の保存でもOKですが、管理が煩雑ですので電子保存を検討しましょう。ですので電子帳簿保存法とも関連がありますね。電子帳簿保存の対応の過程で適格請求書の保管についてもケアしておきましょう。
まとめ
●2023/10/1以降は、買い手は適格請求書がないと消費税の仕入税額控除ができなくなる(一定の経過措置あり)
●適格請求書とは現行の請求書に、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」を追記したもの
●適格請求書を発行できるのは、消費税の課税事業者のみ(消費税を納めていない免税事業者は発行不可)
●売り手も発行した適格請求書を保存する義務あり
まずは制度を理解し、登録申請書を提出し登録番号を入手しましょう。適格請求書自体は、記載すべき項目が増えるだけですので、特段難しくないと思います。取引先の選定や、発行した適格請求書の保存がちょっと厄介かなと思います。
まだ導入までには時間がありますが、影響が大きいので徐々に確実に移行作業を進めていきましょう。