実地棚卸について
いわゆる「棚卸」には実地棚卸と帳簿棚卸の2種類があります。
この記事では実地棚卸に関する記事ですので、帳簿棚卸について知りたい方はお手数ですが、
以下の記事をご覧ください。
実地棚卸は実地(倉庫)でモノを実際に目で確認することです。
一般に、棚卸というと実地棚卸を意味することが多いです。たまにスーパーとかが棚卸のため閉店になってたりしますよね。
では、詳細を見ていきましょう。
実地棚卸の内容
目的
- 実地に行き、目で現物の数量を確認すること
- 継続的に記録してきた帳簿上の在庫数量が実際に存在することを確かめること。
- 盗難や不正などを発見すること。
各種監査において実地棚卸(実査とも)は超重要視されています。
監査人自身が自分の目で商品の数量、保管状態を確認するものですから、
監査証拠としてはトップレベルのものになります。
他の人に在庫はちゃんとありました って報告を受けるよりも、百聞は一見にしかず。
自分の目で見た方が確実ですよね。
CPAの方に聞いた話ですが、実査に行ったところ商品が全く存在しなかった ということがあったそうです。
実地棚卸は関係者に対する牽制にもなるので、大事な棚卸資産を守るために定期的に行うことが大事と言われています。
実施時期
- 会社毎に異なる
- 年1回以上実施すること と規定している会社が多い。
合わない原因
一致しない原因は主に次のような理由です。
計上間違い(経理処理間違い)
私の経験上は、計上間違いが最も多いです。
理由としてはシンプルですが、なにをどう間違えたのか、対策はどうするのか というのは大変難しい問題です。
人間がやる以上、ミスは付き物ですからね。
内部統制の領域ですが、計上手順の見直し、チェック方法の確立など、会社の規模や業種に応じた対策を練る必要があります。
倉庫会社側のミスや不正
これも意外と多いです。
本来あってはならないことですが、
倉庫会社がシステム化しているといえどもシステムを管理しているのは人間ですから
ヒューマンエラーというのはゼロにすることは出来ないようです。
なんらかの理由で紛失してしまった在庫が倉庫のシステムに反映されておらず、
そのままだったということがありました。
なんともヒドイ話ですがこのようなことは実務上目にすることがあります。
信頼できる倉庫会社が殆どですが時折こういったこともあるので、
たまには実地に行くなどして目を光らせておいたほうがよさそうです。
自社従業員の不正
各種書類を改ざんし、あたかも在庫があるように見せかけて実際には在庫が無かった
という不正の手口はあるあるです。
在庫を転売して売上額を自分のものにしてしまうという、悪質極まりない犯罪行為ですが、
実地棚卸をすればすぐにばれることになります。
実地棚卸に同行するのを異常に嫌がる担当者がいたら、それは怪しい兆候と思っていいです。
経理処理の方法によっては、在庫を過少にし売上を水増しする不正を行う場合もあります。
在庫に関する不正は、実地棚卸ですぐに判明するので不正を防ぐ方法として実地棚卸は有効といえます。
コロナ禍での実地棚卸
コロナ禍において、実地棚卸ができない会社が数多いと思います。
私の会社でも、倉庫会社の方針により実地棚卸に行けなかった期間がありました。
弊社では実地棚卸が出来なかった証拠(言い訳?)として倉庫会社からレター等を入手しております。
実地棚卸は重要な統制ですので、実施できなかったことを正当に主張するためになんらかの証憑を残しておいたほうがベターと思われます。
最近では林業などの業種の監査において、ドローンを活用した棚卸なども登場してきておりますので、
ITの進歩により実地に行かなくてもいい時代がくるかもしれません。
ITを悪用した不正も出てきそうなので、イタチゴッコになりそうな予感もします。
最後に
実地棚卸について説明しました。
在庫管理は会社にとって重要な業務です。
商品は将来お金に換わるもの重要な資産ですから、大事に管理を行いましょう。
不正が起きるリスクが在庫にはあるので、
定期的に実査を行い、不正ができない・しにくい環境、風土を構築していくことが肝要と思われます。