インボイス制度とは
インボイス制度とは、ざっくりいうと下記の通りです。
●2023/10/1以降は、買い手は適格請求書がないと消費税の仕入税額控除ができなくなる
●適格請求書とは現行の請求書に、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」を追記したもの
●適格請求書を発行できるのは、消費税の課税事業者のみ(消費税を納めていない免税事業者は発行不可)
最近インボイス制度に関するニュースをメディアで目にすることが増えました。
特に多いのはフリーランスの方々への影響ですね。
売上1,000万円以下の免税事業者も、あえて課税事業者になってインボイス発行事業者の登録番号をもらわないと取引関係を継続するのは難しいようです。
課税事業者になることによって売上から消費税相当分が減ることや、税務に対応する手間やコストが増えることが危惧されています。
課税事業者にならない→得意先から敬遠され、取引減の可能性高い
課税事業者になる→ 売上から消費税減、要税務対応(コスト増)
売手負担の振込手数料の処理が煩雑になる模様
税務通信3678号を読み驚きました。売手負担の振込手数料の処理が超面倒くさくなります。
売掛金の入金時に銀行の振込手数料が差し引かれて入金されることって実務上よくありますよね。
例えば、10,000円の請求額に対し、550円の手数料が差し引かれて9,450円が入金されるという具合です。
この手数料は一般的に支払手数料等で計上を行い、課税仕入で処理し仕入税額控除を行っていると思われます。
当座預金 9,450 / 売掛金 10,000
支払手数料 500 /
仮払消費税 50 /
これってなにも気にせず仕入税額控除していますが、
現行制度では3万円未満の取引は帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるため,
請求書等の保存は不要という決まりがあるからなんです。
ちなみに民法上は、振込手数料は買手負担が原則 らしいです。
今まで知りませんでした w
インボイス制度導入後は、この支払手数料についてもインボイスが必要ということです。
課税仕入れの相手方は誰なのかという疑問も生じるところだが,
課税仕入れの相手方を振込サービスを提供している金融機関とすれば,買手は売手が負担すべき振込手数料を立替えたにすぎず,
代金決済と同時に立替金が精算されたと整理することもできる。
この場合,売手は,買手が金融機関から受領した振込サービスに係る適格請求書と立替金精算書(金融機関の名称,登録番号,振込手数料の金額等が記載されたもの)の交付を受け,
これを保存していれば仕入税額控除を受けることができる”
税務通信より
今までとおり仕入税額控除したいのであれば、買い手から銀行発行の振込手数料のインボイスと立替金精算書交付が必要になるとのこと。
うーん・・・実務上現実感が無いですね。
立替金精算書って相殺確認書的なやつでしょうか、買手が一旦振込手数料を立て替えた体になってるため必要になるらしいのですが。
これを毎回行うなんて非常に煩雑 というか不可能な気がします。
売上値引きとして対価の返還等で処理することも
支払手数料として課税仕入れに計上しようとすると,多くの場合,買手から一定の協力を得ることが必要となる。この点,買手から協力を得るのが難しいケースも考えられるが,売手が振込手数料相当額を値引きしたと整理し,売上に係る対価の返還等( 消法38 )として処理することも可能だ。
ただし,インボイス制度において,売上げに係る対価の返還等が行われた場合には,売手から買手に対して「適格 返還請求書」を交付することが必要となるためこの場合,売手側に一定の実務負担が生じることになる。
税務通信より
買手から協力を得るのが難しい場合の処理として、売上から手数料相当額を値引く処理も紹介されています。
この場合、売手から買手にたいして、「適格返還請求書」なるものを交付する必要があるとのこと。
「適格返還請求書」、ピンときませんが所謂「赤伝」とか、「CREDIT NOTE」的なものでしょうか。
うーん、これも滅茶苦茶面倒くさい!やっぱり現実感が無いですね。
まとめ
あくまで現段階の話ですが、インボイス制度導入後の売手の振込手数料の処理は超面倒です。
課税仕入にする場合 → 買手からインボイスと立替金精算書を入手
売上値引にする場合 → 売手から「適格返還請求書」を交付
インボイス制度はあまり警戒していませんでしたが、思わぬ伏兵というか超面倒な案件が出てきて残念です。
当然ですがこちらが買手になることもあり、売手からインボイスと立替金精算書を要求されることも有り得るということですし、日本全国で事務手続きが爆増すると思われます。
買手が振込手数料を絶対負担するような仕組みに変更して欲しいですね。いまから気が重いです。