PCR検査キットの会計処理について(前払い制・チケット制)
新型コロナウイルスが蔓延してから1年以上経過しましたが、2021年5月現在、未だ収束の兆しは見えません。
多くの企業がコロナ対応に追われていることかと思います。当社も同じくです。
当社では、病院でPCR検査を受けたくても様々な理由で受けられない社員のために、会社でPCR検査キットを手配しております。
仕組みとしてはチケット制のようになっていて、10回分の利用できる券を購入し、券を使うことで一定期間検査することができる といったものです。
※金額は仮に、税抜10万円(税込11万円)とします(検査1回当たり1万円)
経理処理方法
① 検査キット(券)購入時
前払費用 110,000 / 当座預金 110,000
検査キットを購入した時点では、まだ役務提供を受けていませんので、前払費用で計上します。
消費税の取扱いですが、国税庁のタックスアンサーによると
No.6165 前受金や前払金などがあるとき
国税庁HPより
[令和2年4月1日現在法令等]消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税、法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサ-ビスの提供があった時とされています。
したがって、例えば、工事代金の前受金を受け取ったり、機械の購入について前払金を支払っていたとしても、その受取や支払の時期に関係なく、実際に引渡しやサ-ビスの提供があった時が売上げや仕入れの時期となります。
同じように、未収金や未払金がある時も、その代金の決済の時期に関係なく、資産の引渡しやサ-ビスの提供があった時が売上げや仕入れの時期になります。
なお、前払費用のうち、所得税又は法人税の取扱いにより必要経費の額又は損金の額に算入することが認められている短期前払費用は、その支出した課税期間の課税仕入れに含めることになります。
② 実施(券使用)時
検査を7回実施した。
福利厚生費 70,000 / 前払費用 77,000
仮払消費税 7,000 /
従業員のために支出する費用のうち、全従業員を対象範囲としている、金額が社会通念上妥当であること、給料に該当しない ものが福利厚生費となります。
福利厚生費勘定を使用するときは、条件をクリアしているかどうかを確認する必要があります。
③ 有効期限が切れた場合
雑損失 33,000 / 前払費用 33,000
検査キット(券)を使用できず期限を過ぎてしまった場合は、結果的にサービスの提供を受けなかったことになります。
支出金額に対価性がないため、課税対象外取引となります。
経理処理上は、使用しなかった券の支出額は前払費用から雑支出などに振り替えます。
まとめ
①購入時は前払費用で計上
②使用時は福利厚生費に振り替える。使用時に仮払消費税を認識。
③有効期限が切れた場合は雑損失などに振り替える。対価性無しのため、消費税は認識しない。
実務の際は、会計監査人、顧問税理士等に相談の上、慎重に行いましょう。