滞留債務とは?
一般的には過入金や、先方の請求誤り等がよく見受けられます。
例:過入金
商品代金100を取引先に請求した結果、なぜか10多い110で振り込まれた。
売掛金 100 / 売上 100
現預金 110 / 売掛金 100
預り金 10
例:請求誤り
商品代金100のはずが、なぜか90の請求を受け支払った。
仕入 100 / 買掛金 100
買掛金 90 / 現預金 90
実務上個人的には過入金を目にすることが多いです。
出荷後に商品一部不具合等により請求額を変更することがあるのですが、先方のシステム上の都合などで振込額の変更が間に合わないことがあります。
残ってしまった債務は、後日調整したり支払うのが普通ですが、
取引先のなかにはこちらから何度連絡しても請求書が送られてこなかったり、
次回の取引で調整することに決まったもののその次回の取引が全然無かった 等の理由で
残り続けてしまうことがあります。
こちらとしても、処理予定未定の残高がいつまでも帳簿に残り続けるのは気持ち悪いのですが、
債務ということもあり、債権と違ってそれほど熱心にコンタクトをとることは少ないです。付き合いが浅い会社となるとなおさらです。
債権と違い債務は請求を受けたら支払えばいいので、債務管理の担当者も忘れてしまうことが多々あります。
こういう話になると債権の消滅時効の話に展開しがちなのですが、
民法の債権消滅時効って5年とかですからね、実務上長期間放置するのもどうかと思います。
要はその間先方に黙っているわけですし、会社としてそのスタンスどうなの?と。帳簿にずっといるのもなんだか嫌ですし。
実務上の取扱い
なんらかの理由で発生した滞留債務。
時間が経つにつれ関係者皆がその存在を忘れていきます。関係者が辞めていなくなってしまう なんてことも普通にあります。
金額が小さいものだったらさほど大きな問題になることもなく、放置されます。
経理部的にはさっさと支払して終わらせてよ!なんて思うのですが、
営業課においては請求してこないのならとりあえず後回し、言われたら払おうというスタンスが多かったりします。
時間が経過するにつれ、なんなら払いたくない ぐらいのスタンスに変化している人も出てきます。
別に払って損するわけではないんだから、早く払おうよ・・
しかし、不思議なものでこちらから払うと言っても、なぜか払わなくていい と言ってくる取引先もいます。
先方は先方で、過去のよくわからない入金が来ても逆に困るということなんでしょうか・・・
払いたいのに払えないという謎の現象。こうして出来上がる宙ぶらりんの滞留債務。そして時は流れ続ける。
こういう場面を私は何度も見ています。
1年以上経過してくると、この債務どうしようか という話になるのですが、私は実務上こうしています。
●取引先から送られてくる残高確認書を確認
→滞留債務分が載っていなければ、先方は当社に対する債権を認識していないことが客観的にわかります。
●取引先に残高確認依頼書をおくり、残高を記載して返送してもらう。
→滞留債務分が載っていなければ、先方は当社に対する債権を認識していないことが客観的にわかります。
残高確認書の結果を踏まえ、債務を取消して収益計上する旨の社内資料を作成し、責任者(営業部長、経理部長など)の承認を得る。この社内資料と残高確認書が経理処理のエビデンスになります。
不思議なものでここまでくると、むしろ当社の計上が間違えていたのかもと思えるぐらいになってきます。
最後に
実務上の手間を考えると、滞留させることなく綺麗に取引を終わらせたいものです。
もし意図せず滞留してしまった際は、上記処理を御参考まで。
長期間放置するのではなく、事実関係をはっきりさせて帳簿をすっきりさせることをおすすめします。
帳簿がごちゃごちゃしていると間違いのもとになりますし、先送りしつづけるのも気持ち的にも嫌ですよね。
※実務の際は、会計監査人、顧問税理士等に相談のうえ、処理を進めましょう