消費税の還付とは
課税事業者の仮払消費税額が仮受消費税額よりも多かったときには、消費税の還付を受けられます。
多額の固定資産を購入した場合、輸出取引が多い場合には消費税の還付を受けられることがあります。
当記事では消費税の還付の仕組みや、還付申告方法を記載します。
消費税還付になるのはどんな場合か
仮払消費税が仮受消費税より多くなる状況は数パターンあります。代表的な例をご紹介します。
①多額の固定資産を購入した場合
高額の製造機械の購入や大掛かりな設備投資をした場合、多額の仮払消費税が計上されます。
例えば、年間売上1億円の会社の場合、売上にかかる仮受消費税は1,000万円となりますが、
期中に3億円の設備投資をしたら3,000万の仮払消費税が計上されることになり、仮受消費税を上回ることになります。
【仕訳】
売掛金 1億1,000万円 / 売上 1億円
/ 仮受消費税 1,000万円
固定資産 3億円 / 現預金 3億3,000万円
仮払消費税 3,000万円
②輸出取引が多い場合
輸出取引は消費税が掛からない、いわゆる免税取引となります。
年間合計で国内の仕入先から商品2個を1億円(@5,000万)で購入し、
国内、海外の得意先にそれぞれ6,000万円で販売した場合、
仮受消費税は国内得意先のみに課されるため、600万円となります。
仕入の仮払消費税は1,000万円のため、仮受消費税を上回ることになります。
【仕訳】
仕入(または売上原価) 1億円 / 買掛金 1億円
仮払消費税 1,000万円
売掛金 6,000万円 / 売上 6,000万円 海外への売上
売掛金 6,000百万円 / 売上 6,000万円 国内への売上
/ 仮受消費税 600万円
③販売不調の場合
望ましくない状況ですが、販売不調の場合は還付になることが多いです。
商品1,000万円を国内の取引先から購入し、倉庫に保管したがまったく売れなかった場合、
仮払消費税100万円が計上され仮払消費税全額が還付となります。
【仕訳】
商品 1,000万円 / 買掛金 1,100万円
仮払消費税 100万円
還付を受ける方法
還付を受けるには、課税事業者であることと、原則課税を適用していることが要件となります。
消費税の還付を受けるには、消費税の還付申告が必要です。
申告後、所轄税務署によって多少誤差はありますが、大体1ヶ月ほどで還付金が振り込まれます。
資金繰りを意識するなら四半期毎に申告
年1回から四半期になることで税務申告の手間は増えますが、還付額によっては資金繰りにも影響を与えますので検討してみましょう
なお、四半期毎に申告するには事前に届け出が必要となります。
還付申告になりそうな場合は、余裕をもって税務署への届け出をしておきましょう。
一ヶ月ごとにすることもできますが、実務の手間を考慮すると四半期毎の申告が現実的かと思います。
[手続名]消費税課税期間特例選択・変更届出手続https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1932_1.htm
金利がつくこともある
還付申告を実施してから還付金が入金するまでタイムラグが長い場合、還付加算金として金利がもらえます。
金利が付くことに当初驚きでしたが、下記のように国税庁HPに載っているように令和4年時点で0.9%の金利をもらえます。
以前とくらべ金利が下がったものの、約1%の金利というのは結構大きな影響があります。
最後に
消費税還付申告について御説明いたしました。
毎回還付になることが確実な場合で多額の還付を受ける会社は、四半期毎の申告を強くお勧めします。
ちなみに私の会社は輸出が多く毎回還付申告となります。年1の還付と年4の還付では、資金繰りの効率が大きく異なります。
慣れれば消費税申告業務は時間掛からずできます。スムーズな業務フローを構築しましょう。