金型とは?
金型とは、素材の塑性または流動性の性質を利用し成形加工して製品を得るための、主として金属素材を用いてつくった型を総称します。
一般社団法人日本金型工業会
例えば、自動車のボディーは、金属板をプレス金型によって成形加工することで出来上がります。また、電話機など樹脂製品はプラスチック材料を金型によって射出成形することで出来上がります。このように金属、プラスチック、ゴム、ガラス等の素材を、それぞれ目的とする製品の成形加工用に使用されるものが金型で、金型の品質如何が製品の良否を決定づけるものなのです。したがって、金型は製品の産みの親などといわれています。
トレード中心の商社の貸借対照表の固定資産価額は他業種に比べ少ない傾向となっております。
というのも、メーカーのように工場や製造設備を持つことのもなく、一般消費者を相手にする小売店のように店舗を構える必要もないため、固定資産を保有する必要性が低いためです。
固定資産をもつ必要性が低いトレード中心の商社ですが、金型が計上されている会社が比較的多く見受けられます。
これは、メーカーと協業する際に新たに金型を開発することがありますが、その所有を商社が行っていることがあるためです。
流れ的には、商社が金型を取得しメーカーに金型を貸す→メーカーが金型を使って製品を作る→商社はメーカーから製品を購入し、ユーザーに販売するとなっております。
金型取得費を製品販売によって取り返すスキーム(仕組み)ですが、取引によっては製品の生産目標に応じメーカーからの製品購入単価で調整を行うこともあります。
つまり、通常単価100円で購入するところを、製品の生産目標に達成するまでは90円とし、生産に応じ金型の取得代金を取り返すようなイメージです。
この辺りは一概には言えないため、都度都度交渉し、契約を締結して処理を行うことになります。
金型の会計処理
金型は一般的に高額(20万円以上)のことが多いので、取得時に固定資産計上します。固定資産計上後、減価償却により費用化していくこととなります。
●仕訳
(借方) 金型 ×× / (貸方) 現預金 ××
金型の種類、耐用年数
金型の種類ごとに耐用年数が異なります。
プレスその他の金属加工用金型、合成樹脂、ゴ ム・ガラス成型用金型、鋳造用型 2年
固定資産耐用年数表より
上記以外の金型 3年
なお、当社の取引先のメーカーにヒアリングしたところ、耐用年数は3年から10年で償却しているとのことです。
ここでいう耐用年数はあくまで減価償却に用いる年数のため、実際の金型の使用可能期間とは異なります。実際はもうすこし長く使用できるらしいです。
減価償却費ですが、この金型は商品調達額の一部を構成するので売上原価で計上するのが一般的です。
当社は売上原価で計上しています。
●仕訳
(借方) 減価償却費(売上原価) ×× / (貸方) 減価償却累計額 ××
注意点
金型は工場にあるため、現物の管理はメーカ―サイドが実質的に行うことになります。
定期的に金型の実地確認や、工場から報告書をもらうなど、現物管理に注意を払う必要があります。
貸借契約締結を失念することも多く要注意です。
また、仕入先(金型貸与先)が海外の場合、金型を使用し生産した製品を輸入するときは、
製品の輸入時に金型を含め関税・輸入消費税の申告義務が発生するので、こちらも要注意です。
まとめ
●金型は固定資産で計上し、耐用年数2~3年で減価償却を行う。
●減価償却費は売上原価で計上することが一般的。
●金型の現物管理に注意。定期的な現物確認が必要です。
●貸借契約締結を忘れずに。海外の仕入先に貸与している場合、輸入申告額に影響する可能性があるので注意。